テレビタイプライター:ハッカー的知恵の言い伝え

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これは初期のコンピュータ端末についての本当の話である。 ある日 MIT のハッカーがバイク事故で足を折った。 彼は病院に長いこと居なくてならず、ハックできなくていらいらし始めた。 そこで彼の2人の友人が端末とモデムを病院に持ってきて、コンピュータを病院のベッドから電話を通じて使えるようにしてやろうとした。

これは家庭用コンピュータが普及するより数年早く起きたことで、コンピュータの端末は普通の人たちにはあまりなじみがなかった。 その2人の友人が病院に着いたとき、警備員が彼らを呼び止め、何を運んでいるのか尋ねた。 彼らはコンピュータ端末を患者の友人に持っていきたいと説明した。

警備員は患者が病室に持ち込んでも良いもののリストを取り出した。 テレビ、ラジオ、電気剃刀、タイプライター、テープ再生器、しかしコンピュータ端末はみつからなかった。 コンピュータ端末がリストに載っていなかったので、警備員はそれを中に持ちこませなかった。決まりは決まりだからと(この警備員は明らかにドロイドだったのだ)。

よくわかりました、とその2人の友人は言い立ち去った。彼らはもちろんいらいらしていた。コンピュータ端末はテレビやその他リストに載っていたものと同じくらい無害だからである。そこである考えが浮かんだ。

次の日、彼らは戻ってきて、同じことが起きた。警備員が彼らを呼び止め、何を運んでいるのか尋ねた。彼らは「これはテレビタイプライターです」と答えた。警備員が疑わしそうだったので、彼らはコンセントにつなぎ、動かしてみせた。「どうです?キーボードを打つと、打った文字がテレビに映るでしょう。」 警備員は、打った文字が紙に印字されないタイプライターなどなんの役に立つのだろうと考えざるを得なかった。しかしこれは疑いようもなく、明らかにテレビタイプライターだった。そこで彼はリストを調べ、言った「テレビはだいじょうぶ、タイプライターもまったくだいじょうぶ。運び込んでよろしい。」

[歴史的注釈。何年も前、『ポピュラーエレクトロニクス』誌がテレビタイプライターを「自分ではんだづけして作ろう」という計画を出版した。その装置は本質的に何の役にもたたなかったにもかかわらず、とても人気のある計画だった。『バイト』誌の「回路貯蔵庫」特集に携わっていた Steve Ciarcia という人が 1980 年代初期に彼の本の中でこの幽霊を復活させた。テレビの上に自分の思いどおりに表示させる力をもったような気分にさせることが人気の秘密だと彼はみなした。 -- ESR]

[反歴史的注釈。 1992 年 9 月 23 日、『ロサンゼルスタイムズ』は Steve Harvey の「ロサンゼルスだけ」というコラムにこのような記事を載せた。

それは博物館から借りてきたに違いなかった。Altadena の Solomon Watars、6 才の 1 年生が、学校に最初に行った日、コンピュータに良く似ているがテレビがついてない機械で彼がいかにして文字を打ったかということを、家に帰ってから母親に興奮して話した。彼女はそれはタイプライターのことじゃないのかねと彼に尋ねた。「そう!そう!」彼は言った。「たしかにそれはそういう名前だったよ。」

私はその記事をつくづくと眺めながら, 近頃の多くの十代の若者は計算尺のことも知らないに違いないと思った。-- ESR]